
「Amazon流 新規事業計画」に学ぶ動画企画の作り方2/2 -動画内容の交通整理-
前回の記事「「Amazon流 新規事業計画」に学ぶ動画企画の作り方1/2 -CXの重要性-」では、なぜAmazonが新規事業を立てるときに、プレスリリースを使用するのかをお伝えしました。
ですが、本記事の目的は、皆様に動画を作るときに順序立てて、ストーリーのある動画を作ってもらうために、どのようにしてAmazonのプレスリリース論を活用するのかをお伝えしたいと思います。
プレスリリースの項目9選!(おさらい)
まず、前回の記事の最後にご紹介したこちらのAmazonが新規事業を立ち上げるときに使っているプレスリリースの9つ項目になります。
1) Heading(大見出し):顧客が直感的に理解できる製品名にする
2) Subheading(サブ見出し) :サービスのターゲット市場とユーザーのメリットを一言で
3) Summary(サマリ):製品の内容とユーザーのメリット
4) Problem(課題):プロダクトが解決する問題を明示
5) Solution(ソリューション):製品がどのように問題を解決するのか
6) Quote from You(提供側の声):自社からのアピール
7) How to Get Started(始め方):導入がいかに簡単か、どのくらい簡単に使用開始できるか
8) Quote from Customer(顧客の声):顧客(仮)の利用体験を想像し、記述
9) Closing and Call to Action(クロージングと行動の呼びかけ):まとめと、ユーザーが次にする行動を明記
動画制作の流れ
まず動画制作の大きな流れをご説明します。
ここでは、自社で動画を作るケースを想定します。
- なぜ動画を作るのかなど要件定義の確認
- 入れたい要素を書き出し、大まかな動画の流れの洗い出し
- 絵コンテの作成(ナレーションが入る場合は、ナレーション原稿をまず考える)
- 撮影・編集
- SNS等にアップロード
- 運用・改善
というような流れが一般的になります。
それでは、この中のどの部分でAmazonのプレスリリース項目を使って考えていくのでしょうか。
それは①の要件定義の部分になります。
私は、元々写真のカメラマンから始まり、動画撮影、動画制作、マーケティングという順番で勉強してきた経験則からになりますが、①に時間を使わないと失敗し、なにも伝わらない動画になってしまいます。
一番難しいのは、担当者が全体の流れや意図を理解してないまま制作だけを担当している時です。
この場合は特に、上記9項目をはっきりさせることで、動画制作はスムーズに進みます。
動画制作は、撮影や編集にばかり目が行きがちですが、実はどんな動画も9割以上は準備です。

動画制作におけるのプレスリリース企画書のサンプル
色々とお伝えしましたが、実際に見てみないとわからない!と思いますよね。
そこで、ある想定の元に1つのプレスリリースを作成してみました。
弊社初!新卒採用動画を2021年春より使用開始!
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弊社も動画の時代へ!
採用難の時代に、動画の力で欲しい人材を確実に!
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株式会社〇〇(本社:東京都目黒区、代表取締役〇〇)は、制作予算100万円で新卒向け採用動画制作を作り、2021年3月より運用を始めます。
■サービスの概要
本動画制作プロジェクトでは、制作予算100万円で、新卒向け動画を作り、主に新卒向け動画を作り、SNS上での運用を行います。
学生は、求人サイトの他にSNS等で弊社の動画を見る可能性があり、今まで弊社のことを知らなかった学生さんにも興味を持ってもらうチャンスを拡大します。
また、弊社の現在の事業領域を正しく伝えることで、自分も活躍できるかもしれない?とイメージを持つことが可能となります。
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■課題
弊社の市場からの評価としては、人材会社でしかないため、エンジニアの採用が非常に困難になっています。特にエンジニア自体の獲得競争は激しく、さらに人材会社という市場からのイメージが重なることで、集まりにくくなっているということが、昨年度入社社員のアンケートから判明しました。
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■ソリューション
そんな課題への答えが、新卒採用向け動画です。
より多くの就活者に対して、今までのイメージを変える力があるだけでなく、市場全体や株主へのイメージをも変えることが可能性を秘めています。
また、動画には弊社社員が出演することで、昨年度入社社員のアンケートにあった「入社前にどのような人と働くのかわからないのが不安」との声も解消する手助けになると考えています。
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■提供者の声
制作担当者曰く、「本動画プロジェクトで、新卒採用へのイメージだけでなく、弊社全体のイメージを変え、最終的には弊社への市場の評価額も向上させることが可能になります」。
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■始め方
動画制作にあたり、2020年9月より、社内チームを編成し、2020年1月には動画の完成を目指します。
また、制作に関わりたい社員を8月より公募します。
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■動画をみた人の声
今まで、貴社はエンジニアを採用しているイメージがなく、検討の候補にも入っていませんでした。しかし、動画をみて貴社へのイメージが変わり詳しく知りたいと、強く感じました。また、動画の最後に「出演者全員が社員です」と出てきたときは、驚きとともに安心を感じました。
なぜなら、将来働くであろう会社、先輩や上司の方がどのような人たちなのかを事前に少しでも知ることができたからです。
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■クロージング
今までの弊社のイメージを変えるべく、また採用力強化を行うための全社一丸となって取り組む本プロジェクト、完成をお楽しみにお待ちください。
CX=顧客の想像を超える価値を提供すること、CS(顧客満足度)=ユーザーの不満を解消することを目的とすること
プレスリリースだと、みた人にどう思って欲しいのか、弊社の課題は今どこになるのかということを明確にすることができるのです。
顧客目線でみた人にどう感じてほしいのかを中心に内容を作るので、「提供したい価値は〜」や「伝えたいことは〜」という項目はなくなります。
実際の制作に移る前に内容を詰めているので、動画を作っているときにありがちな、「なんでこの動画作っているんだっけ」となることを防ぐことができます。
上記では、私がざっくりと書いてみましたが、ぜひ一度、動画の社内プレスリリースを書いてみることをお勧めします。
また動画制作会社に依頼する際も、こちらを行った上で打ち合わせに入ると、大変スムーズに動画制作をすることが可能です。
最後に
いかがでしたか?
本記事では、「Amazon流 新規事業計画」に学ぶ動画企画の作り方2/2 -動画内容の交通整理-ということで、実際にどのようにして動画を作る準備をするべきなのか、内容をまとめるべきなのかの1例をご紹介させていただきました。
動画マーケティングについて、どのように行っていば良いのか少しは想像がついたでしょうか。動画マーケティングで何か一緒にできそうだなと感じた方は、ぜひお問い合わせいただき、貴社の抱える課題をお聞かせください。